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ホップジャパンの取り組み
ローカルサステナビリティは、福祉や環境、エネルギー、交通、都市計画、農林水産業など、経済・社会・環境のさまざまな視点から地域の持続性を取り扱うテーマです。国内では「持続可能な街づくり」の文脈で議論されることが多く、人口減少や少子高齢化、災害・公害や地域インフラの老朽化など、多くの社会問題が取り上げられています。
ホップジャパンでは特に、地域における「資源の循環」と「人々の交流」に着目し、クラフトビールを軸にして産業の循環を作り、人・もの・ことを繋ぎ、人々を笑顔にすることを目指して活動を行ってきました。
2020年8月、原発事故の影響でほぼ休眠状態となってしまった福島県田村市の公共施設「グリーンパーク都路」を改修し、原料となるホップ栽培から手がけるクラフトビール醸造所「ホップガーデンブルワリー」を開設したのがその始まりです。
国内ブルワリーでは、ビールの原料である麦やホップや酵母は、海外産を使用するのが一般的ですが、弊社では原料栽培から手がけ、1次産業から6次産業化に繋げていくサイクルを一つの地域コミュニティで展開し、「人」×「もの」×「こと」を繋ぐブルワリーを目指しています。
ビールに使用するホップは、地域で栽培された福島県田村市産のものだけを使用し、また醸造過程で発生するモルト粕やホップ粕は、栽培しているホップの肥料や近隣畜産農家に提供し飼料として活用いただいています。
ホップジャパンでは、地産のホップに加え、地域で栽培した大麦や福島県内で開発された酵母を使った日本初の完全地産原料のクラフトビールの開発を行っています。
契約農家で収穫した
地産ホップ
地域の農家と一緒に新しいホップ栽培方法「田村市モデル」の開発を行っています。
産学官連携による
大麦の試験栽培
農研機構の協力により2021年から地産大麦の開発・量産化に向けた実証試験栽培を開始。
大学との連携による
酵母の研究開発
福島大学と共同で開発した地元の植物・果実から採取した酵母を使用。
花・養蜂を使った産業の循環
赤そばの花や季節の花々から蜂蜜を採取し、ミード(蜂蜜酒)を醸造、赤ソバの実もガレットなどで提供
農業の循環
麦芽カスやヤギの糞などで発酵肥料を作り米や野菜を栽培し直売・加工品販売、レストランで提供、籾殻はカブト虫飼育などに再利用(現在計画段階)
動物による産業の循環
ふれあい牧場でヤギなどを飼育し雑草の草刈り、ミルクからヨーグルトやチーズを作り園内で収穫した麦と合わせてピザを提供(現在計画段階)
ホップジャパンでは開業以来、大量生産・大量消費・大量廃棄が当たり前の現代において、原料から商品が作られていく過程を見える化することで、真にものを作るとはどういうことかを知り、「限りある資源を大切にしたい」という気持ちを醸成する場、「循環を体感するテーマパーク」として少しずつ認知され、訪れる人も増えてきております。ホップと麦を地産で醸造した例はありますが、酵母まで100%地産のビールは極めて稀であり、その取り組み自体が強力な地域の魅力になる他、さらに循環のコンテンツを増やす試みとして「養蜂」も始めました。
循環型社会やSDGsといった言葉が注目を集める昨今、少子高齢化や過疎化の波を受ける地域や自治体においては、地域内での循環型システムの構築は極めて重要な役割を持ち、「オールあぶくま産」商品の創成も、単なる商品開発ではなく、ローカルサステナビリティを実現するエコシステムの構築を目指していければと考えています。